8月句会の一句(うめしん句会)
8月6日第93回定例句会 暦では立秋間近の句会ではありましたが、今年の夏は例年にない猛暑で、まだまだ秋の実感には遠い毎日です。
今月の兼題は津田良夫さん出題の「稲妻」であり、俳句で8月は秋の季語を選んで詠みます。
「稲妻」は稲が電光によって霊的なものと結びつき実るのだと信じられていたことから、『稲の伴侶』から『稲妻』に転じたと言われています。人々は稲妻の脅威を怖れながらも崇め、祈るように手を合わせたことでしょう。
<今月の特選句>
1席 稲妻や街一瞬のセピア色 勝浦 かよ子
2席 数拾萬ボルト宙駆く稲光 二反田 昌雄
3席 稲妻や次来るものに身構へる 津田 良夫
<今月の入選句>
絵日傘をくるりくるりとちさき手に 菅 治
酷暑きて目の奥までも燃えており 高田 信義
遠雷の急かすや墓地にぽつねんと 虎井 勝義
墓参りとなりの草もそっと引く 二反田 昌雄
遠稲妻水平線の泡立ちぬ 横田 侃
稲妻や遠くなりゆく雲の脚 吉田 慶三
咲いて散るむなしき音や揚花火 吉田 慶三
<今月の一句>
稲妻にせき立てられて家路かな 大屋 真理子
稲妻で我にかへりて一句詠む 尾上 俊平
散歩道今朝いっせいに蝉時雨 隅田 清
稲光太古の人の畏怖・祈り 森 茂生
次回は9月10日兼題は「秋の山」です。 9月は仲秋としての句を詠みます。
暑さの残る9月ですが、秋への少しずつの変化を五感を澄ませて詠んでみたいと思います。 次回もお付き合い下さい。
(勝浦 かよ子 記)