2019年11月初旬、ニュージーランドのオークランド(Auckland)から一通のエアーメールが届いた。それは私がニッセイ同和損保に勤務していた時代から長い間親交のあったヒューとダイ(Hugh & Di)の家族からであった。毎年12月の上旬にはその年の総報告であるファミリー・ニュースレターやクリスマスカードを送ってもらっているのだが、それにしては時季がかなり早いので何かと思いつつ開封してみた所、彼らの娘ジェニー(Jenny)とその夫リチャード(Richard)が2020年1月中旬に東京を訪れるのでよろしく頼むという内容であった。リチャードの両親オーウェンとロイス(Owen & Lois)も私たちと旧知の仲であった。家内と私が今から四十数年前にオークランドで結婚式を挙げた時にはリチャードは私たちの孫娘(6歳)とほぼ同じ年齢であり、ジェニーは彼よりやや年少であった。その彼らも今では13歳を頭に1男3女の子供たちに恵まれている。 ジェニーは病院に勤める医者であるが、札幌にて6日間ほど医学の会議があるとのこと。ニュージーランドの夏休み期間を利用して子供たちを両親に預けて会議に出席し、その途中東京で私たちに会いたいという希望であった。1月9日に私が成田空港まで出迎えに行き二人をJR中央線阿佐ヶ谷駅のすぐ側にあるホテルにお連れした。翌日駅前のレストランで家族と一緒に食事した後東京駅に向かった。途中、電車内で新国立競技場やオリンピック、パラリンピック等の話をしながら終点に着いてからタクシーにて皇居を一周、二人は日本のロイヤルファミリーの住む宮殿、皇居外苑、敷地内の建物に感動していた。その後新橋に移動し、ゆりかもめ線に乗り換え三つ目の日の出駅で下車、近くの桟橋から水上バスにて浅草方面に向かった。隅田川に架かる幾つかの橋の下をくぐって通過していった。途中船の左岸に聖路加タワー(twin tower)が見えてきたので私が定年まであのビル内で仕事をしていた事を彼らに伝えると「あんなに高い立派な建物の中で勤務していたのですね。」と感心した様子だった。水上バスが終わりに近づくと今度は右側にアサヒビール本社の隣りのビル屋上に輝くオブジェ、聖火台の炎が金色の光を放っている。そしてその先にはひと際高く聳える東京スカイツリーが視界に入って来た。
下船してから浅草界隈を歩いて散策、時間を過ごした後、澄みきった夜空に光り輝く塔を見上げた。展望台へのエレベーターはタイミング良く1分程待っただけで乗ることが出来た。今までもスカイツリーに昇った事はあるのだが今回二人が東京を訪れなければこんなに眩いばかりの東京の夜景を愉しむことはなかったかも知れない。赤道を挟んだ国の友人たちとの信頼関係を再確認出来た。彼らはニュージーランドでもかなり裕福な家庭に育ち、高ぶらず紳士的で慎み深く、話をしても落ち着いていて殆ど疲れを感じさせなかった。
南半球からの隣人との再会は懐かしく久しぶりに向こうの国の清々しさ、薫風を運んできてくれた。かつて私たちが二人の両親や友人たちと過ごした貴重な時間を思い起こさせ、愉しかった日々を彷彿とさせてくれる味わい深い数日間であった。
(関東甲信越同友会 西川純一郎)