2月句会の一句(うめしん句会)
2月12日第99回定例句会 兼題は横田侃さん出題の「野焼く」です。
土地を肥やし、害虫を駆除するために行われる野焼きや山焼きですが、早春の
穏やかな日の夕刻に野を走る焔は、人々の心に感動と春への期待を抱かせます。
今月の写真は「野焼く」の代表的な奈良の春日山の山焼きで、今では花火が揚がり太鼓の演奏などの一大イベントとなっています。
<今月の特選句>
一席 チロチロと行先決めず進む野火 大屋 真理子
二席 土手一枚紙巻く如く走る野火 勝浦 かよ子
三席 米寿には禁酒と決める喜寿の春 二反田 昌雄
<今月の入選句>
窓ガラスほんのりとして春きざす 石澤 貞男
仏壇に二つ供へし草の餅 大屋 真理子
野火消えて眼下に大和の暮しの灯 勝浦 かよ子
幼子の体験保育春立ちぬ 勝浦 かよ子
種を蒔くもみじの手には三粒づつ 高田 信義
碑は一里塚とや土手青む 横田 侃
盆栽の紅梅薫る病みあがり 吉田 慶三
<今月の一句>
親鴨が子鴨引き連れ渡りぞめ 尾上 俊平
飛火野の火が火を追いし野焼かな 菅 治
赫赫と燃える山焼き若草山 隅田 清
結ひ上げし黒髪匂う春の風 津田 良夫
ビル谷間天神様の梅ふふむ 虎井 勝義
冬木立根はしたたかに力溜め 西岡 重毅
薄氷やスキップをする靴の音 藤井 桂子
梅白し薙刀を手に空を見る 森 茂生
次回は3月10日兼題は「春風」です。 今年の春の訪れは例年よりも早いような気配です。 「春風」と聞くだけでのどかでのんびりとした季節感があり、
また春は人を想う季節でもあるようです。 皆様との出逢いに感謝いたします。
( 勝浦 かよ子 記)