3月の句会のお題は「朝」席題の季語は「摘草」と当季雑詠でした。2月の句会が記録的な大雪のため中止になったせいか、今月は療養中の篤三さんを除き先生を含み16名全員が参加し、投句を含み出句が73句と大変大きな句会となりました。
季語の「摘草」は万葉の昔から貴賎都鄙を問わず行われ、花見、潮干狩りと共に春の代表的な遊びごとでした。現代では花見や潮干狩りほど一般的ではなくなりましたが、暖かい春の陽の下で、摘むまでもなく土筆や蓬などが出てくる土手や野原を散策するのも一興かと思います。
屋根裏に小さき声して古雛 花房俊明
皿時計アラビヤ文字の日脚伸ぶ 沼田重子
摘草の指に残せし匂ひかな 大崎太郎
朝一つ夕餉に二つ草を摘む 蓮尾碩才
春愁に余白の時を預けたり 野崎幾代
朝帰り和泉式部や猫の恋 土方元夫
春近し峯覆ふ雲ほどけゆく 津田良夫