8月句会は、盂蘭盆前の12日でしたが、所用のひとりが欠席されただけで、先月見学の渡辺恬さんが会員になり、また、療養に専念されていた吉田慶三さんが久々に出席され、賑やかな句会になりました。
兼題は、森茂生さん出題の「さくらんぼ」でした。「さくらんぼ」の季語は、夏、殊に仲夏の季節です。この機会に「角川俳句大歳時記」の解説を見てみますと、「バラ科の落葉高木。西アジア原産の西洋実桜で、明治初年に導入された。花は春に白い五弁花を開き、実は六月頃黄赤色に熟す。東北地方ことに、山形県が主産地。佐藤錦やナポレオンまた米国のブラック・タータリアンなどがある。みずみずしく甘酸っぱい果肉、緑色の軸をつけて寄り合う光沢のあるかわいらしい風情が愛される。生食の他、缶詰やリキュール酒にも利用される。(対馬康子)」(要約)とあります。
当日投句された「さくらんぼ」の句、全句を披露いたします。ご感想を作句された会員に聞かせて戴ければ幸甚です。(井上記)
桜桃(おうとう)の木々が根を張る被災地に 菅 治
サクランボルビーのかがやき二つ三つ 高田 信義
みどり児の輝くほっぺさくらんぼ 津田 良夫
雨も知らずひんやり好みさくらんぼ 虎井 勝義
さくらんぼ睦む姉妹や母の笑み 西岡 重毅
にこにことほっぺ忙しさくらんぼ 二反田 昌雄
サクランボ一つ食べれば種の山 水川 秀樹
フルーツポンチ最後に食べるさくらんぼ 森 茂生
月山のまぶしさ映しさくらんぼ 横田 侃
北国の色づく季節さくらんぼ 吉田 慶三
果実酒に紅く輝く桜桃(さくらんぼ) 渡辺 恬
譲り合ふ最後の一つさくらんぼ 石澤 貞男
やわらかき稚児のほっぺやさくらんぼ 石澤 貞男
さくらんぼふたつのゆびのうずうずと 井上 知登
仏壇に一時(いっとき)供へさくらんぼ 大屋 真理子