季節外れの台風の余波もあり、荒れ模様の中での句会でした。四月から会員数が増え、投句数も多くなり、句会運営が多少窮屈になりましたので、今月から試験的に一人3句の投句にしたところ、落ち着いた雰囲気になりました。
今月の季語は津田さん出題の「春燈」でした。春の夜にともる灯火には、他の季節に比べ「明るさ、のびやかさ、華やぎがあり、朧夜の滲んだ灯は濃艶な趣が深い。」(角川歳時記)といわれております。その辺が表現できたでしょうか。
薬より春の日浴びて病癒へ 水川 秀樹
春灯し稚児(ややこ)の地蔵ひとり坐す 森 茂生
しんがりは園長先生蝌蚪の水 横田 侃
春燈や同じ思ひの影二つ 吉田 慶三
白木蓮梢に宿る天女かな 渡辺 恬
春燈や雨に煌めく石畳 石澤 貞男
春燈や明かりはひとつ老ひとり 井上 知登
春燈下送り届ける迷ひ人 大屋真理子
春日和天空の果て虚むを知る 尾上 俊平
瑞々しこの日この風この五月 勝浦かよ子
緑陰を菅笠に持ち磨崖仏 菅 治
春の灯のおもむき変えしLED 高田 信義
紫の風よ流れよ枝垂れ藤 竹之下晴美
春燈や消えて黙が支配する 津田 良夫
春燈や謡降りくる石畳 虎井 勝義
手術終へ眼に麗しき春の風 西岡 重毅
春燈の髪梳く女のゆれる髪 二反田昌雄
風光る飛行機雲の幾重にも 藤井 桂子
さて、皆さん。どなたの句が気に入りましたか。ご感想をお聞かせください。
関西同友会 井上知登