11月の句会
南雲先生から「俳」についてのお話がありました。
俳句をする人を「俳人」と言いますが、この「俳」は俳優の「俳」と同じです。俳優つまり役者は観客をいかに笑わせ、泣かせ、感動を与えられるかを常に考えて演技しています。俳人も同じで、句座の参加者に如何に感動を与えられるかが勝負です。
さて今月の「どうしん句会」の出句66句のうち、どの句が拍手を貰えたでしょうか。
以下今月の入選句
手の内は見せぬ翁の茸狩 桑島 貞明
短日の道逆走という黒い影 蓮尾 碩才
手も足もすらずにいるよ冬の蠅 坂井 正巳
烏瓜手繰る夕日の逃げやすし 桑島 久乃
手を叩く音の乾きや神の留守 野崎 幾代
さあ起きよ過疎の町にも神還る 八尋 晃
手相見の声淡々と冬の月 佐道 正
今月の会員句
一枚のくさやを毟る神の留守 沼田 重子
商を託す手締めの大熊手 大崎 太郎
花八つ手手漉き障子の明かり濃き 徳弘 多史
田の神に柏手を打つ神の留守 井上 知登
落葉掃きすぐにはらりと追化粧 下山 道郎
柏手の空しく響く神の留守 西 聰太郎
参道の猫も居眠り神の留守 鹿児島俊之
会員紹介
会員紹介の最後になりましたが、井上知登さんです。
井上さんは神戸在住で、どうしん句会の投句会員です。また関西俳句会を立ち上げ、現在も世話役をされ、同友会俳句愛好者の懸け橋になっています。句柄は故郷、淡路島を題材とした写生句で素晴らしい作品を残しています。
以下井上さんの代表句です。
いさぎ釣れ後ろに人の気配濃く
桜貝波引く砂に波を待つ
初夢は過去完了の世界なり
白魚の羨望のなか買われゆく
夜の秋ピアノの運ぶ風を聞く
届きたる平均寿命合歓の花
蓮尾 碩才 記