五月句会の一句(うめしん句会)

5月の季題は、高田さん出題の「陽炎(かげろう)」です。陽炎は、日差しの強い夏によく見られる現象ですが、俳句の世界では、「野原の揺らいで見える情趣が特に麗らかな春の日の気分に合うので、春の季語(角川大歳時記)」になっています。

選句者が特選に選んだ俳句を中心に、ひとり一句、ご披露いたします。

ご感想をお聞かせください(井上記)

 

菅    治   陽炎やばち打つ熱気女学生

高田 信義  陽炎にあやしくゆれる原発か

津田 良夫  手をかざし寝息確かむ老ひの春

虎井 勝義  芋洗ふ場に身を置きし労働祭

西岡 重毅  押し合うて添うて曲がれるオオデマリ

二反田昌雄  それぞれに穴場を持ちてわらび採り

藤井 桂子  陽炎のゆらぐ小道に猫あそぶ

水川 秀樹  田舎道陽炎ゆれて母浮かぶ

森  茂生  陽炎の中に忍法見つけしか

横田 侃   幼子の息短くてしゃぼん玉

吉田 慶三  陽炎や機影浮き立つ滑走路

渡辺 恬   遠山や野中道も陽炎ひぬ

石澤 貞男  ほらあそこ陽炎だよの声はずむ

井上 知登  潮ひきて浜全面の陽炎へり

大屋真理子  熊本の空に高々鯉のぼり  

勝浦かよ子  陽炎の先へ一途の列車待つ

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