夏に入りそれぞれ旅に出たりして出席者は14名でした。静かな会場の雰囲気の中でも句評には闊達な意見が展開され、盛り上がった句会でした。
7月の季題は、森茂生さん出題の夏の季語で身近な食べ物「冷奴」でした。角川俳句大歳時記の解説によれば、「冷やした豆腐を一口大に切り、おろし生姜、花かつお、葱,紫蘇などの薬味を添えて、生醤油で食べる。庶民的な夏の副食物で、酒の肴にも喜ばれる。昔の奴(仲間)が四角い紋を付けていたことに由来している。」とあります。
選句者が特選に選んだ俳句を中心に、ひとり一句、ご披露いたします。
ご感想をお聞かせください(井上記)
津田 良夫 冷奴ガラスの器ありてこそ
虎井 勝義 束の間の涼装いて冷奴
西岡 重毅 冷奴何よりと言う妻元気
二反田昌雄 水溜まり子等跳ね飛ばし梅雨晴間
藤井 桂子 露天風呂緑雨にくもる山の樹々
水川 秀樹 滝壺にビキニに燥ぐ木霊かな
森 茂生 冷奴家伝の薬味添えられて
横田 侃 緑陰のずれて工夫の目覚めかな
吉田 慶三 長談義長談義なり冷奴
渡辺 恬 無くてよし有れば尚良し冷奴
石澤 貞男 せせらぎや貴船の宿の冷奴
井上 知登 浜風の抜ける車内のひと昼寝
勝浦かよ子 まとわりて刻の動かぬ日の盛り
菅 治 さやさやと吹く風涼し竹の道
高田 信義 老いの身の日々の糧なり冷奴
深田 浩士 夏野菜虫に負けるな追肥やる