7月の句会
今月の季題は「雲海」でした。
雲海は文字通り雲の海ですが、高い山などから見る一面の雲の広がりを表したもので、昔は高い山に登るのは夏に限られていたため、夏の季語になっています。従いまして現代の乗り物である、飛行機などから見る景色は雲海の季語になじまないとされています。また「雲の海」とすると季語でなくなります。
今月の句会は激戦になりましたが、僅差で中川昌明さんの句が最高得点句になりました。
来月からは新しい指導講師も決まり、新講師による特選が決まることになります。
写真は6月の最高得点句「茄子さくりさくりと思い断つごとく」の佐道正さんです。
以下、高得点句と会員の句を掲載します。
今月の高得点句
雲海や下界の些事を閉じ込めし 中川 昌明
蚊を打って我が血をしばし見つめけり 佐道 正
三界の憂ひ鎮むる雲海や 徳弘 多史
今月の会員句
雲海に浮かぶ山々神の声 花房 俊明
床の間の空気を締める百合の花 土方 元夫
雷近しくもりガラスのセロテープ 中島 篤三
空梅雨の傘のステッキスカイツリー 小川 亶
雲海や遊んでみたきトランポリン 桑島 貞明
雲海や鳥の目線になりきれず 大崎 太郎
雲海にステルス機影日本海 蓮尾 碩才
からっぽの郵便受けに蜥蜴の尾 桑島 久乃
がまがえる闇を従へ闇に入る 野崎 幾代
雲海におぼれて迷う我の居て 八尋 晃
なつかしの花いちもんめ虹の足 坂井 正巳
雲海に夕陽かたぶき波立ちぬ 下山 道郎
枇杷実る瀬戸の小島や父母眠る 西聰 太郎
雲海を自在に泳ぐ鳥の群れ 鹿児島俊之
羽黒山統べる高音のほととぎす 浅野 浩利
蓮 尾 碩 才 記