12月11日第85回定例句会 今月の兼題は大屋真理子さん出題の「粕汁」です。これからの季節、粕汁と聞くだけで思わず帰り道を急ぐような郷愁と温かみを感じる季語です。 桑田講師より前回「季語・粕汁」についてご指導いただき、それを踏まえての作句となりましたが、簡単なようで難しい季語であることも勉強となりました。
今月の写真は八手の花です。初冬の庭木として代表的な花で、冬の季語でもあります。大きな葉にぼんぼりのように咲く白い花は舞妓さんの簪のようで、清楚な美しさがあります。
今月の特選句
たっぷりの肥と藁敷きて寒の入り 西岡 重毅
畦会議三人の爺の頬被 二反田 昌雄
紅葉散る古刹の山の冷気かな 津田 良夫
今月の一句
推敲の決まらぬままに冬の星 石澤 貞男
凩に追はれて路地のぜんざい屋 勝浦 かよ子
旨いかと鳥に尋ねて実南天 菅 治
粕汁の記憶の中の父の声 隅田 清
粕汁に京の一味黒七味 高田 信義
晶子の像冬海鳴りの息遣い 虎井 勝義
粕汁に酔って眠って朝の床 深田 浩士
渓谷の枕木辿る冬日和 藤井 桂子
土の香のいよいよ薄し日の短か 横田 侃
年の瀬や訛り懐かし始発駅 吉田 慶三
次回は新年1月8日、兼題は「初暦」です。 新たな年の始まりの一頁を皆様とご一緒に健やかに開くことができますようにお祈りいたします。
(勝浦かよ子 記)