7月句会の一句(うめしん句会)
7月9日第92回定例句会 九州地方の豪雨災害など、今年の梅雨は未だに不安定で夏の盛りを待つばかりです。
今月の兼題は虎井勝義さん出題の「団扇・扇」です。 夏の風物詩である団扇で梅雨空を吹き飛ばして、盛夏の気分に浸りたいものですね。
今月の写真は黒田清輝の有名な『湖畔』です。 芦ノ湖での夫人を描いた作品で、手に持った団扇が一層の涼やかさを醸し出しています。
<今月の特選句>
1席 長考の棋士の扇の閉じる音 二反田 昌雄
2席 灯台の灯りの間合ひ星涼し 横田 侃
3席 蚊柱の打てば乱れてまた戻る 津田 良夫
<今月の入選句>
ジャンケンであおぎっこした団扇かな 石澤 貞雄
母の手のまた動きたる団扇風 勝浦 かよ子
阪神の勝利連れくる梅雨晴間 高田 信義
バタバタと団扇の急ぐ負け将棋 二反田 昌雄
舁き山や博多のまちも夏姿 吉田 慶三
駐在に山の風添え古団扇 横田 侃
ちぎれ藻の渚に寄り来晩夏光 横田 侃
<今月の一句>
団扇手に虫をはらひて立ち話 大屋 真理子
茶会終へそぞろ歩きの日傘かな 尾上 俊平
まどろみに一匹の蚊を打ち損ね 菅 治
おまつりの所作が揃ったおどりの輪 隅田 清
父の日や諍ひ諭す便り子へ 虎井 勝義
玉の汗ゴルフ疲れの肩の凝り 西岡 重毅
終電に傘を忘れる梅雨の月 藤井 桂子
帯を締め扇を挿していざ出番 森 茂生
次回は8月6日 兼題は「稲妻・稲つるび」です。 俳句では8月は初秋となります。音である「雷」は夏の季語で、光の「稲妻」は秋の季語です。 稲が電光により実ると信じていたことにより秋の季語として扱うようです。 季節の廻りに身を委ねて俳句をご鑑賞ください。
(勝浦かよ子 記)