9月句会の一句(うめしん句会)
9月10日第94回定例句会 首都圏に甚大な災害をもたらした台風15号の通り過ぎた翌日でもありました。 未だに停電のままの地域も多く一日も早い復旧を願ってやみません。
さて、今月の兼題は森 茂生さん出題の「秋の山」です。
秋の山は深まりとともに表情が変わります。 初秋は木々を揺らす風に秋の気配があり、仲秋は木々が柔らかさを増して木漏れ日が溢れ、晩秋はいよいよ紅葉の季節へと移ります。 今はまさに仲秋であり、移り変わる秋の山に心を寄せた作句が揃いました。
今月の写真は9月上旬の白神山地「湧壺の池」です。青池と並びブナの自然林の中に神秘的な姿を見せています。 東北には秋の気配が息づいています。
<今月の特選句>〉
Ⅰ席 振り返り又振り返り秋の山 西岡 重毅
2席 きのうとは違う色添う秋の山 西岡 重毅
3席 夕日射す陰影深し秋の山 高田 信義
<今月の入選句>
大文字や亡父が手を振り帰りゆく 石澤 貞男
瀬戸内の色深めゆく秋の山 大屋 真理子
飛沫あげ流るる木曽の山は秋 菅 治
鬼やんま歩きスマホに急カーブ 高田 信義
木の実踏むバキッと空へ響きけり 藤井 桂子
採石の痕そのままに山澄めり 横田 侃
風に咲く野菊の花や野辺の道 吉田 慶三
<今月の一句>
野暮で良しつゆたっぷりと走り蕎麦 勝浦かよ子
庭隅の晴れて一輪菊の花 隅田 清
足音に止む虫の声闇深し 津田 良夫
車窓からパステルカラー秋の山 虎井 勝義
バスを待つ姥くるくると秋日傘 二反田 昌雄
山は無垢あくまでも澄み秋の空 森 茂生
次回は10月8日、兼題は「秋時雨」です。10月は晩秋、近づく冬の気配を
感じながらしっとりとした「秋時雨」の中に身を置きたいと思います
(勝浦 かよ子 記)