9月どうしん句会
今月の兼題は「秋の風」でした。
秋の風とは文字通り秋の季節に吹く風のこと、ありきたりのなんでもない光景の季語であるだけに、この季語を使って俳句を作るのは難しい。皆さん苦戦しながら面白い、良い句が出来ました。
写真は8月特選第一席句「指先に止まるトンボと真顔の子」の小川亶さんです。
以下特選句・入選句と会員の句を掲載します。
今月の特選句
桟橋のともづな軋む厄日かな 葛巻正樹
トタン屋根にテニスボールと栗の毬 佐道正
田を抜ける風を迎へり赤とんぼ 土方元夫
入選句
妻病みて行くに叶わぬ秋の風 花房俊明
まだここに電話ボックス盆の月 中島篤三
明けやらぬ裏戸に生(あ)れし油蝉 大崎太郎
木の皮に食い込む爪や蝉の殻 鹿兒島俊之
秋風が吹いて空家にものの影 浅野浩利
会員の句
一山を覆い尽くして蝉しぐれ 小川亶
文机に筆の影射す夕月夜 桑島貞明
山稜の斜光淡かり秋の風 徳弘多史
秋風や少し薄すめの塩むすび 蓮尾碩才
庭のもの一枝そへて盆の花 桑島久乃
鉦叩たたくリズムの衰へぬ 野崎幾代
切通し速度早めて秋の風 坂井正巳
半纏の貸し出しもあり秋祭り 中川昌明
(蓮尾碩才 記)