10月句会の一句(うめしん句会)
10月8日第95回定例句会 台風19号は東日本を直撃し、広域にわたる甚大な爪痕を残しました。 被害の現状はあまりにも酷く言葉もありません。 心よりお見舞い申し上げますとともに一日も早い復旧を願うばかりです。
さて、季節は中秋であり俳句では晩秋にあたります。 今月の兼題は大屋真理子さん出題の「秋時雨」です。
「時雨」は冬の季語ですが、華やかな紅葉の中をさっと通り過ぎる「秋時雨」はふとした侘しさと冬の気配を感じさせる季語であります。
今月の写真は奈良曽爾高原の芒原、行く秋を追いかけるような落日です。
<今月の特選句>〉
1席 立ち上がる波の根の蒼冬近し 横田 侃
2席 去年よりなほ稲架低く老夫婦 二反田 昌雄
3席 小走りの老い追いかける秋時雨 石澤 貞男
<今月の入選句>
窓に月蓄音機より江利チエミ 勝浦 かよ子
仲秋や琴の音響く大覚寺 隅田 清
ひと言のお世辞が言へず秋の風 津田 良夫
読経やみ喪服の列に秋時雨 二反田 昌雄
運動会出汁たっぷりのたまご焼き 藤井 桂子
引き潮の杭太々と秋の海 横田 侃
<今月の一句>
自販機の手元狂いし時雨秋 菅 治
秋時雨走り過ぎ行く一の谷 高田 信義
飛鳥寺へ貫く古道秋時雨 虎井 勝義
山道の古き標や霧時雨 西岡 重毅
泣き虫の弟しのび秋時雨 森 茂生
病床の窓辺をたたく秋時雨 吉田 慶三
次回は11月12日、兼題は「凩・木枯し」です。 11月は早くも初冬を詠みます。
行く秋を惜しみながら冬の到来に耳を傾けたいと思います。
(勝浦かよ子 記)