今月の一句(3月どうしん句会)

3月どうしん句会

世の中は各種の集会が中止になるなど、また東京は桜の開花と同時に雪も観測される中、3月の句会は10人参加して無事終了しました。
今月の兼題は「春の水」でしたが、後藤先生からは「春の水」はなかなか作りづらい季題ですが面白い句が多くありましたとの評をいただきました。
写真は2月の第1席句「冬の夜や茶碗に注ぐ白湯の影」の葛巻正樹さんです。今月の特選句
流れきて飛沫をあげて春の水    鹿兒島俊之
カーテンを閉め忘れたる日永かな  佐道正
安土過ぎけふは雨水と耳にする   葛巻正樹

入選句
春光に川底の石動きけり      蓮尾碩才
つなぐ手に移るぬくもり春の水   野崎幾代
読みさしの本にはさみて種袋    浅野浩利

会員の句
麻酔さめ現に還る春灯       花房俊明
護岸工事終へる多摩川春の水    土方元夫
漬物の押し石楕円春の水      中島篤三
個々の花競いて枝を隠しおり    小川亶
パレットに搾る空色春の水     桑島貞明
方丈の音たてて落つ花椿      大崎太郎
夜の梅御堂の灯り消えにけり    徳弘多史
岬道ちりちり乾く干若布      桑島久乃
嬉々として棚田を急ぐ春の水    坂井正巳
春場所や静寂破る四股の音     中川昌明

(蓮尾碩才 記)

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