猛暑日の毎日ですが、句会当日は台風接近中の雨模様ながら15人の会員が集まり、題の「景」と兼題の「夜の秋」、他当季雑詠を含む各自4句が出句されました。今日の兼題の「夜の秋」と言う季語は、夏の最中ながら夕方や夜になると少しだけ秋を感じる状態を意味する晩夏を表す夏の季語です。それぞれ感性を働かせた78句の中から南雲先生が選んだ入選句と高得点句は以下の通りです。
また今月から佐道 正さんが新入会員として参加されました。
追伸の長くなりたる夜の秋 桑島 久乃
暗闇に生者明々風の盆 蓮尾 碩才
ゼロの景語り継ぎたる盂蘭盆会 土方 元夫
その背中なでてやりたい百日紅 花房 俊明
背景の村よりの声青田風 大崎 太郎
夜の秋ピアノの運ぶ風を聞く 井上 知登
加齢との病名告知明け易し 八尋 晃
(先生の佳作ながら今月の高得点句)
青簾漉されし風のやわらかき 横田 侃
<会員の紹介>
今月は小川亶さんです。
小川さんは「合同句集どうしん」の第一集に名を連ねている句歴の長い会員です。現役時代の忙しい時期から俳句に親しみ、現在もなお仕事を続けながら毎月の句会には参加し、素晴らしい句を披露しています。作句は伝統的な俳句形式を踏みながら、生活や人情の機微を巧みに入れ、先生の入選句にも度々選ばれています。
以下代表句です
万物の初を土産の年迎ふ
点滴の無色無言の浅き春
噴水の生き生きとして子の目線
かなぶんも妻も小言を聞かぬ振り
赤とんぼ今日一日を乗せて去る
着ぶくれて百面相の中に入る