10月の句会
今月の題は「京」と季語の「秋深し」です。「秋深し」の季語は秋も深まり、山々が鮮やかな色合いに染まる中秋から晩秋のころの季語ですが、現実の気候はまだ夏のように暑い日もあり実感がわきません。しかし各自深まる秋を想像し秀作の競争となりました。
以下今月の先生入選6句と会員4名の当月句を掲載します。
今月の入選句
小鳥来る平安京をはすに切り 坂井 正巳
京舞の障子の影に秋深む 蓮尾 碩才
草庵の畳は二枚秋深む 桑島 久乃
京菓子の今を織りなす丹波栗 野崎 幾代
秋深し渓の深さを数え居り 八尋 晃
食通を気負ひて啜る走り蕎麦 下山 道郎
秋深し独り聴く夜のレクイエム 津田 良夫
今月の会員句
秋深く毘沙門天の眼が動く 桑島 貞明
窓からのあるなしの風秋深し 大崎 太郎
晩鐘の京の山寺秋深し 徳弘 多史
蔵出しの新酒口数増やしおり 井上 知登
<会員の紹介>
大崎太郎さんは俳句以外にも短歌、菊栽培、絵手紙と多くの趣味を持ち、そのいずれも優れた技量を持っておられます。大崎俳句は植物や自然、時候をよく理解し、それを巧みに織り込んだオーソドックスな作品で、毎月先生の入選、特選の対象となっている当句会の優れた俳人の一人です。
以下代表句です
蒲公英の風を読みきるしたたかさ
春うらら遊び過ぎたる靴の紐
風を読み風になりきる鯉幟
麦秋の真っ只中の風の巾
十薬の白さの十字自己主張
雨の日は雨の色なり蓮の花