11月句会は、11月11日午後の開催でした。おふたりから欠席投句があり、12名の出席で盛会裡に行われました。
兼題は、吉田慶三さん出題の「冬支度」(ふゆじたく)。冬支度は、冬の季語でなく晩秋の季語です。角川俳句大歳時記には、「秋の終わりになると、冬の寒さや降雪への準備などへ心せかされてくるが、そうした実際の作業と心持ちを総括するものである。冬着や寝具、燃料の準備から、雪国では雪吊や家まわりの用意、農家では漬物の仕込みや霜囲いなど、地方や家庭によって様々なものがある。(森賀まり)」とあります。
ひと昔前の田舎の生活のなかに素材を見つけていますが、現在、都会で現代生活を送る私達にとって、「冬支度」はどのような形で詠まれるでしょうか。ご鑑賞いただければ有難いです。
襟を立て予報士せかす冬支度 虎井 勝義
タンスから早く出してと冬支度 西岡 重毅
風音に背中押されて冬支度 二反田昌雄
冬支度妻の指図の日曜日 水川 重樹
綿入れの糸の縫い目に母偲ぶ 森 茂生
女房のかけ声止まず冬支度 横田 侃
名園の水面にうかぶ冬支度 吉田 慶三
老松も腰に蓑巻く冬支度 渡辺 恬
愛犬のベスト編み足し冬支度 石澤 貞男
戸障子を開け放ちをり冬支度 井上 知登
愛犬の先ずは一番冬支度 大屋真理子
街路樹の葉音とともに冬支度 尾上 俊平
檜割り積まれて香る冬支度 菅 治
八十路来て身も心とも冬支度 高田 信義
落葉樹身を軽くして冬支度 津田 良夫
みなさんは、どの句が好きですか。句会で会員が選んだ高得点句は、水川さんの「妻の指図」の句、横田さんの「女房のかけ声」の句、石澤さんの「愛犬のベスト」の句でした。今回は36回目の句会でした。来月は満三周年です。それに2冊目の句誌も出来上がります。 井上 知登 記