外は季節外れの粉雪が舞う厳しく寒い一日でしたが、竹之下晴美さんが新たに加入され、久しぶりに会員全員が出席して賑やかで熱のこもった句会となりました。出席18名は句会発足後初めてであり、未経験の世界で司会者が工夫しながらスムーズに進めていきました。
兼題は、春は何と言っても桜の季節、尾上さん出題の季語は、桜に関する多くの季語の中から、「初桜」を選びました。歳時記(角川俳句大歳時記)では「初桜は、初花と同義。春になって初めて咲いた桜の花のこと。毎年、桜の咲く時期は気候、風土またはその品種によって異なる。農耕儀礼とも結びつく桜の開花は、古来、日本人の待ち望んでいたことで、俳句でもその心情を受けついでいる。(行方克己)」とあります。
我が句会の俳人たちは、初桜をどのように受け止めて心情を重ねたのでしょうか。「初桜」の句をメインに1人一句づつ選びました。お楽しみください。
河津より吉野に移る初桜 水川 秀樹
初桜よちよち歩きのおちょぼ口 森 茂生
腕組みのいつかな解けぬ初桜 横田 侃
リクルート夢を咲かせた初桜 吉田 慶三
初桜幼女の髪に白きもの 渡辺 恬
ほうけたる母も指さす初桜 石澤 貞男
今はまだ南の島の初桜 井上 知登
初桜通りすがりの人を呼ぶ 大屋真理子
馴初めし遠き香りは初桜 尾上 俊平
歩をゆるめ目元ゆるめて初桜 勝浦かよ子
竹に活く紅梅一枝匂い立ち 菅 治
ステッキの指すその先に初桜 高田 信義
初桜虫も起き出す窓の外 竹之下晴美
初桜浮かれ浮世の宴かな 津田 良夫
合格の掲示がせかす初桜 虎井 勝義
初桜遠回りせず待つ奈良へ 西岡 重毅
初桜犬はすたすた通り抜け 二反田昌雄
川沿いに通いし思い初桜 藤井 桂子
皆さんはどの句が気に入りましたか。ご感想をお聞かせください。
(井上知登 記)