5月の句会
今月は南雲先生が急用のためお休みとなり、会員だけの句会となりました。会員だけのため合評も議論百出、出句に対して様々な意見が出され、賑やかで意義ある句会になりました。今月の兼題・季語は「新緑」ですが、初夏の木々の緑、甦ったような木々の葉の艶やかな色栄え、吹く風も心地よい時期を表現する季語で「新樹」とも言われます。
今月の入選句
新緑の風にも色のありにけり 大崎 太郎
草引いて三日の旅に備へけり 浅野 浩利
新緑や高速道の風軽し 佐道 正
新緑の太古の森を風に聞く 菅 治
新緑の光織り成す風の道 野崎 幾代
新緑の映ゆる内陣阿彌陀佛 徳弘 多史
遠い日の少年の旅聖五月 中島 篤三
今月の会員句
デジャヴュの中に憲法記念の日 蓮尾 碩才
草刈女草に負けたる鎌一本 桑島 久乃
マネキンの小さな肌着夏隣る 井上 知登
新緑が南面硝子染め替える 八尋 晃
強風に疲れ果てたる鯉のぼり 坂井 正巳
引く潮に足擽られ浅蜊掘る 下山 道郎
<会員紹介>
今月は坂井正巳さんです。
坂井正巳さんは元々川柳を好んでおられ、その後俳句に興味を持ち入会されました。そのためか言葉遣いや表現が巧みで毎回句会では皆を驚かせる句が披露されます。類想や類形を排し、その独特の感覚から生まれる俳句は、今や当句会の名物になっています。
以下代表句です
円覚寺読経まじりの春の風
じりじりと喰ひ進みけり籾殻火
かかること百も承知の冬の山
揚雲雀声高らかに降下せり
たたまれて蔵の内へと鯉のぼり
小鳥来る平安京をはすに切り
荒行や耳を貸したる枝垂れ梅
(蓮尾碩才 記)