今月の題は「夜」、兼題の季語は「涼」でした。
珍しく欠席者が多く、少数精鋭の句会でしたが参加者それぞれ佳句を出句し、投句を含め65句の句会となりました。九月はまだ夏の残りがあり、秋と夏の中間のような微妙な季節、それだけに俳句で取り扱うのは難しくなります。
今月の特選第一席の桑島貞明さんの句は、厨と夜の組み合わせが虫の声と重なり晩夏・初秋の季節感を見事に表現していました。
以下今月の入選句
厨より夜のはじまり虫の声 桑島 貞明
悟ること悔いること増えこの涼夜 蓮尾 碩才
研ぎたての包丁匂ふ涼新た 桑島 久乃
眠りからさめた振子に涼新た 八尋 晃
秋の夜の時計の音のただならず 佐道 正
今月の会員句
家路まで十五夜月と歩みけり 沼田 重子
夜通しをたたきつづける鉦叩 大崎 太郎
ふと絶えし街のさざめき夜の秋 徳弘 多史
野分去り真青の空を残したり 野崎 幾代
海光も色変えてをり秋涼し 井上 知登
涼しさや夜風浜風波しぶき 坂井 正巳
会員紹介
今月は鹿児島俊之さんです。
鹿児島さんは平成25年8月に入会され、熱心に俳句を勉強し、散策会や懇親会にも積極的に参加していましたが、不幸にも病気になり現在は治療中のため投句会員となっています。一日でも早い句会復帰を祈念しています。
以下鹿児島俊之さんの代表句です
微かにも虚空を摑む秋の蟬
白無垢の川面に眩し秋日和
紺碧の海を跨いで秋深む
耳元で蚊が身のほどの風飛ばす
新緑の揺れる濃淡谷地の道
秋風や小千谷紬の色の冴え