今月の句会は病気療養中であった鹿児島俊之さんが久しぶりに復帰し、賑やかな句会となりました。先生からの題は「空」、兼題は「秋刀魚」で投句も含め66句の出句となりました。先生からは俳句は作為的に作るものではなく、対象を見つめしっかり詠うことにより佳句が生まれる、俳句は作るものではなく詠うものだと厳しい指摘がありました。
以下今月の入選句
抽出に失効旅券雁渡る 蓮尾 碩才
柿捥いで空の碧さに近づけり 沼田 重子
過ぎし日は多く語らず鳳仙花 浅野 浩利
焼かれゆく秋刀魚のまなこ潔し 花房 俊明
大漁の網から秋刀魚躍り出る 佐道 正
今月の会員句
秋潮にひゅうと息鳴り海女の桶 下山 道郎
久方の真澄の空や鰯雲 西 聡太朗
木犀の薫を連れて客来たる 鹿児島俊之
領海に目黒の秋刀魚影薄し 土方 元夫
素粒子のその先の空星月夜 中島 篤三
手の皺も知りつくす味秋刀魚焼く 小川 亶
会員紹介
今月は浅野浩利さん、佐道正さんのお二人です
二人とも昨年入会されたピカピカの新人ですが、それぞれ短歌・川柳の経歴があり、俳句にもごく自然に入り込めたようです。
入会早々から先生の特選・入選句に入るなど、毎月の句会では佳句を披露して、句歴の長い会員を驚かせています。
浅野浩利さん
浅野浩利さんの代表句
蓮の実の耳を澄ませば天の声
草引いて三日の旅に備へけり
まくなぎを払いて会話もどしけり
まっすぐな心貫き木瓜の花
佐道 正さんの代表句
お水取り我が青春の火の粉散る
別れ霜作り笑いの日となりぬ
新緑や高速道の風軽し
飛び石に影映しけり白日傘
(蓮尾 碩才記)