7月の句会
今月の入選句
今月の兼題は「帰省」でしたが、ひと昔前と今では帰省の感覚も随分変わってきたようです。苦労して郷里に行く列車の座席を確保した時代から、飛行機、新幹線、車の時代になり、また帰った郷里も懐かしさよりも寂しさが多く感じられる今の時代ではないでしょうか。
そんな中で昔ながらの故郷を「五感」で確認しあう句が特選を争い、正巳さんの句が特選第1席になりました。普段は先生の選句と会員の選句に差が出てくるのですが、この句は句会参加の皆さんの多くの賛同を得、と同時に南雲先生の特選を得るといった珍しいケースになりました。
最後に句会発足25周年記念句誌を皆さんに配布しましたが、イラストレーターで活躍する、わたせせいぞう氏のご尊父が紙面に掲載されていますので写真で紹介します。
蓮尾 碩才 記
ふるさとを五感でなぞる帰省かな 坂井 正巳
片陰の五感をほどく散歩道 大崎 太郎
歩き出すからくり人形五月闇 桑島 貞明
己が目へ語り部となる帰省道 小川 亶
古代より覚めて露置く蓮の花 下山 道郎
万緑の一歩も引かぬ磨崖仏 浅野 浩利
夏木立母の歩幅に合わせけり 佐道 正
今月の会員句
訪ね先香手向けたる帰省かな 中川 昌明
二歩を打つ縁台将棋源五郎 花房 俊明
毛虫焼く燐寸五本を擦りつぎて 土方 元夫
縦書きの句の文字あんど立葵 中島 篤三
喉仏大きく動き麦茶ほす 沼田 重子
帰省子に訛りはじける父祖のくに 徳弘 多史