今月の季題は「栗」でした。栗は何処にでも見られ一見簡単なようですが、実際俳句にしようと思うと以外に難しいことが分かりました。
新たに就任された後藤章先生は、写生句を中心に選句をされていますが、写生句の基本は「見えているが見えていないものを見えるようにするものです」と講評されました。
今月の特選第1席の句は、坂井正巳さんの「一群の椋鳥早し空暗し」でした。
また写真は9月の特選第一席句「二百十日農家の無人販売所」の中島篤三さんです。
以下、特選句・入選句と会員の句を掲載します。
今月の特選句
一群の椋鳥早し空暗し 坂井 正巳(特選第1席)
電球を暖色に替え栗ご飯 佐道 正 (特選第2席)
笊の栗食卓にありもう十日 中島 篤三(特選第3席)
入選句
逞しや室外機横の杜鵑草 土方 元夫
気がつけば秋風の中立ちつくし 八尋 晃
栗飯はおふくろの味門を掃く 鹿児島俊之
今月の会員句
栗を炒る姑娘かけごゑ国訛り 花房 俊明
指の爪喰はずもがなの栗の渋 小川 亶
短冊の筆の掠れや十三夜 桑島 貞明
南総の棚田の畔の彼岸花 大崎 太郎
さえわたる雲添わせつつ月今宵 徳弘 多史
父母すでに兄姉も逝き万灯会 蓮尾 碩才
栗を食む縄文人の食みしごと 桑島 久乃
帽子手で抑え挨拶夕野分 下山 道郎
庭先の金木犀の香にあふれ 西 聰太郎
赤蜻蛉少年の日の夢描く 浅野 浩利
敬老日百歳超えを驚かず 中川 昌明
(蓮尾碩才記)