今月の特選第1席の句は、桑島貞明さんの「生垣の剪定匂ひ冬に入る」でした。
この句は一般的には「剪定」と「冬」の二つの季語が入る季重ね句ですが、初冬の今でしか剪定出来ない植物もあり「剪定」は季語に当たらない。植木を整理した切り口から冬が匂うとした感覚は素晴らしく良い句になりました。
また、写真は10月の特選第一席句坂井正巳さんの「一群の椋鳥早し空暗し」です。
今月の特選句
生垣の剪定匂ひ冬に入る 桑島 貞明(特選第1席)
無人駅までの直線刈田道 浅野 浩利(特選第2席)
谷戸の日のはや冬菊を離れけり 桑島 久乃(特選第3席)
入選句
零余子飯先ずは神棚つぎ雀 土方 元夫
捨てられし庭に織り敷く柿紅葉 下山 道郎
鯖雲や新幹線の車輛基地 鹿児島俊之
会員の句
擦り切れし二足の草鞋秋遍路 花房 俊明
母の手のしつけ糸かと干布団 中島 篤三
布団には父子のモグラ赴任前 小川 亶
新そばの貼り紙店の煤く軒 大崎 太郎
工事場の立体図形秋の雲 徳弘 多史
熟寝する人の形の干蒲団 蓮尾 碩才
すべり込む布団に母の足温し 野崎 幾代
階段の手すりつかみて秋つかむ 坂井 正巳
彼方此方と風に渦巻く落ち葉かな 西 聰太郎
冬蒲団に替えて桃源郷に入る 佐道 正
蒲団干しわが身も軽く眠りけり 中川 昌明
蓮尾碩才記