今月の特選第1席の句は、小川亶さんの「外灯の絞る世界に見るみぞれ」でした。
初冬の寒々とした外気の中に外灯の火が一点を絞り込むようにして灯っている光景が上手く俳句に表現されていると後藤先生の評をいただき、本日の1席句になりました。
また写真は11月の特選第一席句桑島貞明さん「生垣の剪定匂ひ冬に入る」と、後藤先生も参加された忘年会のものです。
以下、特選句・入選句と会員の句を掲載します。
今月の特選句
外灯の絞る世界に見るみぞれ 小川亶(特選第1席)
鴨潜りぼら飛び跳ねて波立ちぬ 中川昌明(特選第2席)
残菊を剪る日いつかと佇めり 中島篤三(特選第3席)
入選句
包装紙溜めては捨てる年の暮 桑島久乃
髭を剃る昨日と同じ歳の暮 下山道郎
雑踏に手締めの響き年の暮 鹿兒島俊之
欠航の放送しきり冬に入る 横田侃
地すべりの岩にはりつく冬紅葉 西岡重毅
冬紅葉瓦土塀のつづく坂 勝浦かよ子
会員の句
平成の紅葉惜しみて乾門 花房俊明
横のもの縦にせんとや年の暮 土方元夫
少年の声高々と冬木立 桑島貞明
而して十年日記買ひにけり 大崎太郎
年の瀬や絶えることなき車列の灯 徳弘多史
厨から湯気に愚痴乗せ年の暮 蓮尾碩才
照れながら弾む足取り七五三 野崎幾代
じっとして何に耐ヘいる冬の蠅 坂井正巳
夕日浴びあけぼの杉の落葉す 西聰太郎
年の暮らしきけじめも薄れけり 浅野浩利
読みかけの栞そのまま年暮るる 佐道 正
蓮尾碩才 記