今月の特選第1席の句は、佐道 正さんの「春泥をエレベーターに残しけり」でした。
今年は桜の開花が早いようですが、今月の季題「暖かし、温し、春暖」は、寒い冬の季節風からも解放され、ほっとしている早春の季節を現す季語です。
また写真は2月の特選第一席句西 聰太郎さんの「紅梅に降り積む雪の重さかな」です。
以下、特選句・入選句と会員の句を掲載します。
今月の特選句
春泥をエレベーターに残しけり 佐道 正
あたたかや駅のポスターしばし見る 中川 昌明
犬の嗅ぐ土の匂いのあたたかし 佐道 正
入選句
カレンダーのわたせせいぞうあたたかき 中島 篤三
暖かや図書館の窓広々と 桑島 貞明
春暖や守り袋の忘れ物 蓮尾 碩才
特急の通り過ぎたる駅余寒 桑島 久乃
会員の句
日銀の空に浮雲あたたかし 花房 俊明
戦さ知る荒凡夫逝く寒し春 土方 元夫
歴代の雛のもてなす郷土館 小川 亶
狭庭辺の風に溶けこむ蕗の薹 大崎 太郎
春燈下ひらくページのあたたかき 徳弘 多史
春一番帽子押さへて交叉点 坂井 正巳
合わせ鏡襟あし柔ら春ぬくし 下山 道郎
皮衣早や脱ぎ捨てし紫木蓮 西 聰太郎
春暖やバスに揺られて邯鄲へ 鹿兒嶋俊之
庭石に日差しやわらか春の蝶 浅野 浩利
訃報
永年どうしん俳句会で活躍されました沼田重子さんは、3月6日逝去されました。謹んでお悔やみ申し上げます。
(蓮尾碩才 記)