今月の兼題は「更衣」でした。更衣と書いて「ころもがえ」と読み、衣更えは季節の変わり目に衣服を変えることですが、俳句では冬から春にかけての服装の変化を表す季語になっています。後藤先生からは同じ季題を使って10句くらい作ると、季語との放れ具合も丁度良くなり良い句が生まれるとのことです。やはり数作ることが必要のようです。
また写真は4月の特選第一席句桑島久乃さんの「湧水に泳がすやうに芹洗ふ」です。
以下、特選句・入選句と会員の句を掲載します。
今月の特選句
道の駅筍並べおまけ糠 土方元夫
新緑や街路に遠くポスト見ゆ 中川昌明
影のように古書の店主の更衣 蓮尾碩才
入選句
更衣マネキンの眼と合ひにけり 中島篤三
茅花流し銀輪の帽一列に 桑島久乃
喪の明けて少し遅めの更衣 野崎幾代
向日葵や生徒らのごとこちら向き 坂井正巳
石楠花の萼の散らばる朝かな 鹿兒島俊之
会員の句
栴檀の残り香しばし更衣 花房俊明
八十路坂手前にありて柿若葉 小川 亶
風抜ける肘の淋しさ更衣 桑島貞明
宇宙より降る紫外線更衣 大崎太郎
古き町へ一路並木の花みずき 徳弘多史
肘枕また向きを替え日永かな 下山道郎
白壁のミハスの街に赤き芥子 西聰太郎
いつまでも若者気取り更衣 浅野浩利
地下鉄の地表に出でてモネの夏 佐道 正
(蓮尾碩才 記)