6月12日第79回定例句会 今月の兼題は横田侃さん出題の「夏帽子」です。
6月は俳句の季題では「夏(仲夏)」となります。 「夏帽子」は夏の日差しを避けるためのものですが、その響きに誰もが郷愁を感じる季語でもあります。
桑田先生から季語「夏帽子」の捉え方と著名な作品をご披露いただき、和やかな中にも質問や意見の飛び交う和気藹々とした句会となりました。
今月の写真は岸和田蜻蛉池公園の紫陽花です。 やはりこの時期ならではの花であり、紫陽花は日本の原産であることも心に響く要因かもしれません。
今月の特選句
癒やしとは紫陽花のごと寄り添ひて 虎井 勝義
栗の花雨の匂ひを纏ひたる 勝浦 かよ子
釣り竿を伝ふ手ごたえ夏来る 石澤 貞男
今月の一句
幼子を追ふ母の手に夏帽子 大屋 真理子
婆そっと爺の出掛けに夏帽子 二反田 昌雄
共白髪ほつれを隠す夏帽子 吉田 慶三
南風吹きたっぷり湿気連れてをり 井上 知登
麦稈帽風に吹かれてころげゆく 尾上 俊平
睡蓮の眠る夕べに鐘ひびき 菅 治
紫陽花の青深まれる雨上り 隅田 清
喜寿米寿集いし笑顔梅雨晴間 高田 信義
雨脚は大地にやさし梅雨に入る 津田 良夫
夏帽子戴白少しはみ出して 西岡 重毅
思い出すことのいろいろ夏帽子 深田 浩士
あじさいの真言坂に傘ひとつ 藤井 桂子
夏帽子あみだ被りの隣の子 森 茂生
またひとつ列に戻さる夏帽子 横田 侃
次回は7月10日、兼題は「かき氷」です。 俳句の季題では7月は晩夏となりますが、実際は夏真っ盛りです。 「かき氷」でほっとした時間をお届けできますように。
(勝浦かよ子 記)