今月の兼題は「春の雪」でした。

句会当日はまさに春の雪、足元が心配されましたが、大部分の会員が集まり熱心な句会となりました。「春の雪」や「春浅し」「浅き春」はいづれも早春の肌寒い感じを表した季語で立春を過ぎても寒いこの時期にぴったりです。

写真は１月特選第一席句「半島のここに灯台野水仙」の土方元夫さんです。

以下特選句・入選句と会員の句を掲載します。

今月の特選句

春近し湯気のほぐるる象の糞　　　葛巻正樹

電柱の間に雪の穂高かな　　　　　佐道正

黒土を口に含みて春計る　　　　　下山道郎

入選句

風去りて蠟梅の香の漂へり　　　　　野崎幾代

春の雪肩にかかりて失せにけり　　坂井正巳

供花青き馬頭観音春の雪　　　　　　鹿兒島俊之

春の雪日陰に残る轍かな　　　　　　浅野浩利

会員の句

梅の枝に触らば落ちなむ春の雪　　花房俊明

中国史背負ひし客や旧正月　　　　　土方元夫

剪定の梢モノクロ冬の池　　　　　　　中島篤三

雨よりも粋かお洒落か春の雪　　　　小川亶

寒牡丹菰いっぱいの白さかな　　　　桑島貞明

街灯を斜めに走る春の雪　　　　　　　大崎太郎

枯蓮餌突つく鷭みえかくれ　　　　　　徳弘多史

膨らめど花芽は固し春の雪　　　　　　蓮尾碩才

菰巻のほころび庇ふ春の雪　　　　　　桑島久乃

マスク着け寡黙の列や通学路　　　　中川昌明

(蓮尾碩才 記)