３月どうしん句会

今月の兼題は「春雨」でした。

冬の乾いた空気から少し湿度を増し、降るのも雪から雨になるこの時期、「春雨」は早春の代表的な季語です。多くの例句もあり独自性のある俳句を作るのは難しい季語ですが、会員の皆さんは果敢に挑戦され良い句が出来ました。

写真は２月特選第一席句「春近し湯気のほぐるる象の糞」の葛巻正樹さんの色紙です。

以下特選句・入選句と会員の句を掲載します。

今月の特選句

春雨や橋の欄干ぬれはじむ　　　　　　坂井正巳

春の雨樹々の緑に石仏に　　　　　　　桑島久乃

春の雨喫茶の客が外を見る　　　　　　中川昌明

入選句

姉妹して花柄合羽春の雨　　　　　　　  野崎幾代

爪切りもなかばで倦みし春の雨　　　　下山道郎

革靴のすいと履けたり春の昼　　　　　 佐道正

山伏の法螺貝ゆくや木の芽時　　　　　葛巻正樹

会員の句

春雨や見知らぬ人に傘さして　　　　　花房俊明

駅への道しばし佇み初音かな　　　　　土方元夫

春雨や鏡の作る呆け顔　　　　　　　　  中島篤三

地蟲出で税申告の列となり　　　　　　 小川亶

春めきしビジネス街のティールーム　　桑島貞明

幾筋の飛行機雲に鳥帰る　　　　　　　 大崎太郎

春の雨波紋揺るがす鯉のひれ　　　　 徳弘多史

熟寝して葛根湯に春の雨　　　　　　　  蓮尾碩才

梅東風に触れ合う絵馬の響きかな　　鹿兒島俊之

(蓮尾碩才 記)